河内長野市は森林が7割を占める自然豊かな環境で様々な産業が発展してきました。
河内木綿もそのひとつで伝統的な紺谷型紙を用いて木綿産業や藍染が盛んでしたが今は衰退しています。そこで文化や地域性を調べて郷土性豊かなモチーフを元に文様を制作して文様帳にまとめ、それらを活用して現代の河内長野らしい生活雑貨をデザインしました。それらを通して市民や子供達に地域の伝統や文化の魅力を伝えていきたいと思います。
河内長野文様帳/文様90個・48ページ・和綴じ
材料/和紙
豊かな自然環境とともに古くから山村としての暮らしや文化が反映された風俗や習慣に民族の特徴を見いだすことができます。
また高野山へ向かう高野街道を中心に市内を6つの側面から調査して文様のモチーフを集めました。
1.高野街道/2.祭りと神事/3.産業と特産物/4.暮らしと道具/5.歴史的文化財/6.滝畑と岩湧山の自然
1.高野街道シリーズ
市内を南北に貫くように高野山へと向かう祈りの道です。常夜灯が多く残されていたり弘法大師ゆかりの寺で作られる柚子味噌や天野酒蔵など河内長野らしい宿場町として趣のある町並みを見ることができます。これらをモチーフに文様を抽出し制作しました。
2.祭りと神事シリーズ
河内長野では盆踊りが盛んに行われています。他にもだんじりや神楽や獅子舞など様々な神事があり、それらをモチーフに制作した文様です。地元の風習に溶け込んだ郷土性や地域性を見ることができます。
3.産業と特産物シリーズ
市域の7割を山林が占める河内長野では、その土地び特徴に応じた産業が発展してきました。炭、林業、爪楊枝、酒造、鋳物に加え、ベアリングや釘も伝統産業です。また近隣で良質な竹が採れることから発展した大阪金剛簾は国の「伝統的工芸品」に指定されています。これらは伝統的な技が魅力的な文様になりました。
4.暮らしと道具シリーズ
製炭業は約1400年以上の歴史を持っています。炭焼き道具の他に檜皮葺や茅葺屋根の材料を採取するのに必要な道具一式が市指定文化財として大切に保存されています。暮らしの営みがわかる道具たちをモチーフに制作した文様はどこか懐かしく温もりを感じます。
5.歴史的文化財シリーズ
河内長野には6件の国宝と77件の重要文化財があります。豊富な文化財の件数は先人の努力によって保存・継承されてきたことが示されています。歴史的な建物の屋根には特徴があり、瓦葺きの他に桧皮葺や茅葺屋根など多様です。これらのモチーフは非常に格式がある文様になりました。
6.滝畑と岩湧山の自然シリーズ
大阪府南東部に位置する岩湧山は和泉山脈、金剛葛城山脈から形成された地形で恵まれた自然環境から抽出した文様です。
岩湧山の山頂には茅葺き屋根の材料となる「茅の森」が大切に守られ管理されています。
「型紙制作」
かつて河内長野でも盛んに作られていた藍染に使用する伝統的な紺谷型紙と同様に文様を切り抜いて、地張りシートを施した河内長野文様の型紙を作ります。
左「森の恵み」
滝畑と岩湧山の自然シリーズの文様を使ったデザインで格子状に配置しました。
右「祈りの旅路」
高野街道シリーズの文様を使ったデザインで格子状に配置しました。
左「古社の静寂」
歴史的文化財シリーズの文様を使ったデザインで格子状に配置しました。
右「河内ハレの日-祀」
祭りと神事シリーズの文様使ったデザインで格子状に配置しました。
左「受け継がれる贈り物」
産業と特産物/暮らしと道具シリーズの文様を使って、伝統や文化が今の暮らしの中で現代の産業として溶け込んでいることを表しています。河内長野を取り囲むように環状に配置したデザインです。
右「河内暮らしスタイル」
1提灯・2ネジ・3鋸・4野鳥・5常夜灯・6多宝塔の6つの文様のシルエットを組み合わせて河内長野らしい1つのパターンに仕上げました。上下左右どの方向からでも文様が楽しめるデザインです。
「河内ハレの日-躍」
河内音頭やだんじり、獅子舞など舞や踊りの動きのある文様を繰り返し直線的に配置して活気溢れるデザインにしました。
「河内長野のお土産」
手拭いw350×H950/ハンカチ450×450/ふきん400×400
素材:木綿
技法:藍染
「河内長野文様の灯り」
スタンドライトW150×D150×H200/ランプシェードφ300×H270
手拭いやハンカチの包み方によって河内長野文様が華やかな印象になります。
河内長野文様が地域に親しみやすさと新たな魅力を与えます。
暮らしの様々な場面で河内長野文様から醸し出す豊かな自然感が生活を彩ります。