上田 篤 / 通信教育部 部長

広がる実りの世界

上田 篤 / 通信教育部 部長
今年も私の一番好きな笑顔溢れる季節がやってきました。

ここに集まったデザインは、まるで瓜生山の森に実った果実のように不揃いながらも個性的でそれぞれが瑞瑞しさに溢れています。大きな決意と夢を持って入学したつぼみの状態から、様々な苦難と戦いながらいつのまにか花を咲かせ、最後の寒い冬を乗り越え実らせた成果を前に、我々は魅了され、感動を覚えます。社会人として家事や仕事と両立しながら成し得たこの素晴らしい挑戦に心から敬意を表すとともに、一緒に喜び合いたいと思います。

素晴らしい自らの果実を育んだ一方で、この地で皆さんは“デザイン”という禁断の果実を口にしてしまいました。既にその様々な効用や時には副作用を体感している方も多いでしょうが、一番の効用はこれからそれぞれの地域で、様々な形の楽園を創造していける力と度胸を得たことでしょう。通信の卒業生だからこそ生み出せる未来が必ずあると私は確信しています。ここで得たデザインの力とその楽しさを胸に、自信を持って次の目標へと踏み出してください。もちろん卒業後も気が向いた時で結構ですから元気なお知らせを届けてくださいね。全国各地で皆さんの手や思考によって生まれる個性豊かな実りの世界が広がっていくことを楽しみにしています。

豊かで、ちょっぴり刺激的で、そして何より健康的な、
これからの皆さんのデザインライフを存分に謳歌されることを祈念しています。

デザイン科WEB卒業制作展をご覧いただく皆さま、
我々の誇る、通信ならではの味わい深き成果を存分に堪能してください!
岸川 謙介 / 通信教育部デザイン科 科長

まだ名のない風景

岸川 謙介 / 通信教育部デザイン科 科長
ここに展示されている力強い制作をもってデザイン科より数多くの卒業生を輩出できることはとても素晴らしいことだと思います。情報、建築、ランドスケープ、そして空間演出と学びの分野は様々ながらも彼らの制作に通底するのはここから先へのメッセージということに他なりません。一人一人が社会的バックグラウンドを背負うなか、時間の大切さ、人と人のつながりの大切さ、子育てや介護の苦労や大切さを身をもって知っている。そんな皆さんが自ら決意して芸術大学の門戸をたたき、デザインを学んだのです。ここでの学びを通して、既存の様々な枠組みに対して日常生活の中で感じるズレ、不自由さを感じていた自分自身を乗り越えただけでなく、未来のリアルな生活環境に対して確かな信念をもってビジョンを提示できたに違いありません。まだ名のない風景、ここにある作品が放つそんな可能性に満ちた、ワクワクするような世界を皆さんと共有できればと思います。これからは卒業生の皆さんが先生になって、ここでの学びの大切さを自分のまわりの人たちにつないでください。ご卒業おめでとうございます。