オーダースーツの世界では生地の供給元の生地商社及び店舗などで、あらゆる種類の生地サンプルがシーズン後はその役割を終え、いずれは廃棄されています。業界内でもサスティナブルな取り組みが進む中、まずは小さな事でも現場の私に出来る事はないのか・・そんな思いから今回、廃棄される予定のサンプル生地や端切れを使用した5本の日傘を制作しました。
まず生地サンプルについて。ハンガーサンプル、カードサンプル、バンチブック・・・表紙の綺麗なサンプルブックはディスプレイなどに使用され第二の人生を送ることが出来ますが、大半はしばらく保管されたのちいずれは廃棄される運命を辿っています。
業界内の現状のリサーチを行いました。各社様々な工夫が行われています。
[No.1 クレイジースワッチ] スワッチとはカード状の素材見本のことを呼びます。サンプルの台紙から接着剤以外の部分を切り取りランダムな形のピースを接ぎ合わせ、土台の傘の上にふんわりとかぶせた2枚重ねの日傘。
[No.1クレイジースワッチ] ディテールのポイントとメイキング。
[No.2 スーツになりたい傘・1] ハンガーサンプルを使用した自由な形で接ぎ合わせられた生地。スラッシュポケットをイメージした切れ目から、細い日差しが木漏れ日のように差し込みます。
[No.2 スーツになりたい傘・1] ディテールのポイントとメイキング。
[No.3 スーツになりたい傘・2] ハンガーサンプルを使用しパーツを水平に切り替えました。「スーツになりたい傘・1」のデイリーユースモデル。すべての接ぎ目に白いハンドステッチをあしらい、遊び心を持たせています。
[No.3 スーツになりたい傘・2] ディテールのポイントとメイキング。
[No.4 バンチブック・ウィンドゥペーン] バンチブックの生地を同じ形の正方形にカットし全面に接ぎ合わせることで生地の特徴を際立たせました。「ウィンドゥペーン」とはスーツ生地の柄の名称で「窓枠のようなチェック」を意味します。
[No.4 バンチブック・ウィンドゥペーン] ディテールのポイントとメイキング。
[No.5 クレイジー・ストリップ] 「ストリップ」とは短冊のことを言います。余った端切れを長い短冊状にし生地を束ねる紐代わりに使用することが生地の世界ではよくあります。今回はそれを紐ではなく日傘のデザインに生まれ変わらせてみました。
[No.5 クレイジー・ストリップ] ディテールのポイントとメイキング。