• 保育園で裸足になろう!

  • あるとき、ハワイで数年生活していた友人からこんな話を聞いた。「日本の子どもがハワイ島にくると、ごつごつしたところを歩くのに慣れていなくて溶岩の上を歩くのが難しいみたい。現地の子はビーサンですたすた歩いてるけど」。

  • 現代日本では歩いたり外で走り回ったりする機会が昔に比べて減ってしまっているようで、その結果子どもの土踏まず形成率が年々下がっている。
    ベネッセの教育情報サイトによると、土踏まずは本来5~6歳で80~90%の子どもに形成されるが、1988年の調査では6割未満、2008年の調査では50%を切ってしまっている。
    また、全身のバランスを取るのに重要な足の指の機能も衰えている。2008年に行われた、幼稚園の年長組の子ども371人を対象にした調査では、足の指を全部開くことができたのは全体の1割ほど。偏平足の子どもの9割近くが、まったく指を開けなかった。

  • そこで足の健康について調べてみたところ、「裸足」というキーワードに行き当たった。
    とりわけ成長の著しい幼い頃に裸足で過ごす習慣は、足の機能を含め心身の発達に良い影響を与えるという研究記事が世界中に数多くある。イギリスの足専門医 Tracy Byrne が The Gurdian 氏の記事で述べているように、あまり幼いうちから靴を履くと歩行能力や脳の成長を妨げてしまうという意見さえある。

  • 靴を履くことが当たり前の現代社会では、大人も子ども裸足になって運動し、足裏から多様な刺激を受ける機会が減っている。しかし、裸足の習慣は心身の発達に良い影響を与え、特に成長の著しい乳幼児期では有意義だ。
    そこで、裸足で生活し運動することにより、たくましく心豊かな子どもを育てることを目標とした「はだし園」をハードとソフトの両面から提案したい。

  • 施設の設計にあたっては、裸足で毎日元気よく過ごせるよう開放的で外と内がシームレスにつながった空間をめざす。園庭を真ん中に配置することで、園児と外の環境との距離を近くする。

  • 足裏からさまざまな刺激を得られるよう、多様な素材を用いる。

  • 毎日裸足で思い切り遊べるように、さまざまな遊具を設置。

  • 平家を基本とするが、遊戯室の一角の天井を高くしてネットを設置した。

  • 園舎中央の園庭にかかる切り離された屋根には大きな窓があり、太陽の光を取り込むとともに、園児を雨風からしのぐ。

  • 園庭中央の触覚の道は様々な素材でできており、足裏から様々な刺激を楽しむことができる。部分的に取り外しでき、園児が自ら触覚の道を作ることができる。

  • 園庭には、ロッククライミングや滑り台がついた洞窟のある山、地面に埋め込まれたトランポリン、小川、泥沼などがある。山の上の穴は室内のテントに通じている。

  • 屋内の遊戯室は芝生になっており、砂場やボールプールがある。ロフトはネットになっている。

  • 保育室には家形に切り抜かれたスペースがある。サイドが本棚になっており、静かに読書ができる・また、絵具の入ったプラスチックバッグが床に設置されており、園児はいつでも裸足で絵具のお絵かきができる。

  • 保育室の壁にはお絵かきができるアクリルの小窓がついており、外壁には額縁がついている。またコーナーに小さな丸窓ももうけた。エントランスにある下駄箱の前には洗い場があり、園児たちはここで足を洗って靴を履き、降園となる。また明日!

はだし園
宮原 小絵