•  ロンドンで暮らしていたとき、室内にはモーリディングやコーニスがあり、外出すると石造りの建築物の凹凸が美しい陰影を作りあげているのが見られます。このように、暮らしの中に色 一色が作り出す陰影の美しさを毎日身近に感じることができました。自然素材でありながら陰影を楽しめる素材は日本では何が匹敵するかを考えたとき、思いついたのは漆喰でした。
     作品を通して、壁材である漆喰の持つ魅力・陰影の美しさをもっと日常の中で感じられるようすることを目的とし、漆喰との関わり方を変えるために、照明器具を制作しました。

  • 漆喰からの拡散光が月明かりのようにほんのり照らす、ベッドサイドで使用する照明器具です。
    土台にチーク材の根株を、光源には電球色のLEDライトを使用しています。リモコンにより光の強弱をコントロールできます。
    自然素材100%の漆喰と手仕事による温かみとともに、漆喰の陰影を日常生活の中で楽しんでいただけたら幸いです。
    作品名には「月」の付く曲名をつけています。

  • ●Clair de Luna (φ210) - 自分が美しいと思うトーンで -
    曲面に対して漆喰をスプーンで塗ってみたところ、自分が美しいと感じる陰影模様を発見し、この作品が誕生しました。
    ドビュッシーが、自分が美しいと思う音で作曲して誕生したという「Clair de Luna(月の光)」を作品名としました。

  • ●Fly Me To The Moon (φ260) - 木星や火星にはどんな春がくるのかな -
    スプーンで塗った後、乾き切る前にスプーンでもう一度押さえ込んだ磨き仕上げにヒントを得た技法を使い、木星のような陰影が浮かびあがる作品が出来上がりました。
    人類が月面で最初に聞いた曲「Fly Me To The Moon」と合わせて、暗がりの中、宇宙やロマンスに思いを馳せて楽しめる陰影となるかもしれません。

  • ●Moon River (φ260) - 見てみたい世界がいっぱいある -
    木ゴテを用い、中心から外側へと回転させながら塗りました。木ゴテは様々な表情を創り出してくれます。
    中心から外へ広がる陰影が、「Moon River」の歌詞のように希望に胸を膨らませたような前向きな印象を与えていたら嬉しいです。

  • ●Moonlight sonata (Mov.3) (φ260) - 内に秘めた高揚感や緊張感 -
    1mm厚のステンシルで作成した菱形紋様。たった1mmの差が、boldで彫刻的な陰影をつくり出しました。
    整ったリズムの中に力強さがあることから、ベートーヴェンの「月光の曲 第三楽章」を作品名としました。

  • 光源のついたチーク材の台の上に溝があり、そこへお皿を差し込むだけでお皿の取り替えが簡単に行えます。

Moonlight 〜漆喰のあかり〜
児玉 映恵