• 慌ただしい時間を送る現代社会の生活の中で、心癒す時間の大切さを感じます。
    時間に追われ、普段意識することも少ない陽と影。部屋に差し込む陽を改めて観察すると、季節感や空気の流れ、時間の変化を感じることができます。
    そこには移り変わる陽の優雅さ、上品さを感じます。

  • 日本人の美意識。
    私は夕焼けに空が赤く染まる景色を見て、美しさに胸が震えたり、寂しさを感じ感動することがあります。
    言葉では言い表せないような移ろいゆく微かな光。そういった不確かなものを感じ取り慈しむという日本人特有な繊細な感情。
    日本人の空間に対する繊細な意識を大切にしなければならないと考えます。

  • 日本人には古くから「侘び、寂び」と言った良き文化があることを誇りに思います。
    「寂び」といった表面的な事、「侘び」という内面的な感性。日本人にとって「侘び」という繊細な感性、感情は大切なものだと考えます。
    この作品では「侘び」という内面的なものをデジタルを通じて如何に伝えられるかを試みたいと考えました。

  • 春陽。
    この作品制作の理由は多忙な生活の中で僅かな時間の隙間にでも自分を振り返る時間を持ってもらいたいと考えたからです。
    実際の制作ではCGによって映像制作を行い、プロジェクションマッピングによって空間演出を行いました。

  • 皆、日々疲れているが、夢や希望を持ちたい時代。そんな時代だからこそ、慌ただしい生活の中で自からを振り返り、自分の時間を大切にしてもらう空間を創りたいと考えました。
    この作品では、新たな季節の変わり目を感じさせる「春」。人間にとって特別と感じる夕暮時。これらを「春のアフタヌーンテイータイム」として設定し制作開始しました。

  • 朝早くから、夜遅くまで働く日々の生活の中で、ゆっくりと陽と影を眺める時間を作ることは簡単な事ではない現代。
    1人でいる時、友人と時間を過ごす時でも、そっと静かにその場に溶け込めるようにリビングルームのテーブルでの投影を想定した空間演出です。

  • 実際のサイズ感です。

  • 主要な制作プロセスは3DCGでモデリング、物理ベースでの光のシュミュレーションにより、元の映像データを作成し、After effectsでMotion Graphics付け,コンポジット化しました。

  • 作品へのこだわり。
    空間に息を吹き込むのは陽と影ではないかと考えます。物質に陽があたると影が生じます。その陽と影は一見すると陽が主役のように感じますが、陽は影が存在するからこそ、陽の存在が引き立つと考えます。強い陽には強い影がダイナミックなメッセージを表現します。一方、弱い陽にも言葉では表せないような繊細なメッセージを感じ取ることができます。
    そして、人間の感性はとても繊細です。空間の微かな空気のゆらぎ、塵、埃の浮遊からの反射、室外の景色の移り変わりからも「時」の変化を感じます。
    そのような構成を考え映像制作しました。

  • 影の複雑さ。
    陽、影をプロジェクターの光で映像再現する上で「影」を表現することの難しさを感じます。
    影は単に陽が遮られて黒となっているのではないことを再認識します。
    私達の周りには太陽からの直接光と共に、空気層、雲、建築物によって反射した間接光が複雑に交じり合っています。
    その為、影を表現することは主要な光、色成分を除去、色調補正することが必要であることに気付かされます。

  • 陽、影は身の回りに当たり前のように存在していますが、その恩恵を改めて感じることは少ないのではないかと思います。
    しかし、大古より人間と陽、影は切っても切れない関係であり、人類が生きていく上で必要不可欠な普遍的な力を受けていることを改めて感じます。
    多忙な時代だからこそ、移り変わる陽と影を見るゆとり、人間としての感受性を大切にしてもらえればと考え提案する作品です。

春陽(HARUHI)
長谷川 実
研究テーマ「光による空間の演出」